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3分でおいしいご飯!震災の経験から生まれた防災非常食「フリーズドライご飯」


株式会社サンフレックス永谷園
1975年の創業時から、フリーズドライ技術を用いた商品開発に取り組んできました。本社を含め、福島県いわき市に8工場を展開しており、フリーズドライやレトルトなど、永谷園製品を中心に多彩な商品を製造しています。(写真:左から、常務取締役 上村隆さん、商品企画部 部長 山口勝弘さん)

お湯で3分、水でも5分で、おいしいご飯

東日本大震災では、震源のあった東北地方だけでなく、関東でも断水や停電が続きました。その経験を経て、改めて注目されるようになったのが防災非常食です。3日間過ごせる程度の食料を備えておくことが推奨されています。

分け合うこともできるよう、おにぎり2つ分とやや多めの量が入っています。

手間がかからず、栄養価に優れ、しかもおいしい。そんな理想的な防災非常食が「フリーズドライご飯」です。お湯なら3分、水でも5分というわずかな時間でおいしいご飯が完成。ピラフ味やわかめ味など、味がしっかり付いているので、ご飯だけで満足感が得られるように考えられています。さらには水がない時でも、そのままスナック菓子のように食べることができます。アレルギーを持つ方も安心して食べられるよう、卵や乳をはじめ、食物アレルギー表示対象の27品目を使用していません。

この防災非常食を開発したのは、フリーズドライ食品の製造を行うサンフレックス永谷園です。本社があるのは福島県いわき市で、東日本大震災では操業停止を余儀なくされました。自分たちも被災したからこそ生まれた「フリーズドライご飯」の開発秘話を聞いてみましょう。

余震が続く中、気が休まらない食事

東日本大震災により、いわき市は断水が続きました。ご飯を洗う水もなく、昼間はおにぎり一つで過ごす日が数日続いたそうです。

「非常食のご飯は、お湯で15分、水だと60分ほどかかるものが主流です。余震が続く中で、お湯を沸かす余裕はなかなかありません。そうなると水を使うことになるのですが、いつまた揺れるのか…と不安を抱えながら1時間待つのはとても大変でした」

常務取締役の上村隆さんは、当時の状況をそう思い返します。そして、この経験こそが商品開発の原点となったのです。

パウチの内部に水の量が記載されており、スプーン付きなので、計量カップも食器も必要ありません。

「私たちは食品メーカーです。自分たちが不便な思いをしたのなら、自分たちの力でそれを解決しなければいけないのではないか。そう考えて、『フリーズドライご飯』の開発に着手しました」

「3分まで縮めよう」

サンフレックス永谷園が得意とするフリーズドライとは、その名の通り食品を凍結(フリーズ)し、真空状態で乾燥(ドライ)させます。素材のおいしさや栄養を保つことができ、出来上がるまでの時間が短いのが特長です。

このフリーズドライ技術を生かし、第一に考えたのが出来上がるまでの時間でした。防災非常食のご飯は、お湯を入れて15分ほどで完成するものがほとんどです。そこで当初は、半分の7分を目標とすることにしました。

「ただ、いざお湯を注いで待っていると、7分は意外と長いのです。カップラーメンの『3分』に慣れているのでしょうね。私たちも待つ気持ちは痛いほどわかっていましたから、それならば、と3分を目指すことにしました」
開発に取り組んだ商品企画部の山口勝弘さんはそう話します。これまで、お茶づけやお粥のフリーズドライ商品は開発経験がありました。その技術をもとにしてご飯を作ろうとしたのですが、思うように上手くいかなかったといいます。単純に水を減らしていくだけでは、べちゃべちゃのご飯になってしまうのです。

お年寄りや子どもも楽に,そして体調に合わせて食べることが出来るように

「これまでの技術を応用しつつ、新しい手法も取り入れながら一歩ずつ開発を進めていきました」
時間を伸ばしたり、味を妥協したりすれば、もっとスムーズに開発が進んだのかもしれません。しかし、自分たちが被災を経験した以上、それはできませんでした。災害時には、食事だけが楽しみになってくるということを身をもって知っていたからです。そんな時に中途半端なものを食べてほしくなかったのです。
そして、お湯を注いで3分でおいしいご飯が食べられる「フリーズドライご飯」が出来た時、開発から4年の時が経っていました。

自治体の防災非常食へ

「フリーズドライご飯」は、手軽さとおいしさで瞬く間に話題となりました。三重県松阪市の防災非常食に。松阪市様からの「地産地消」というテーマも付け加え、米は松阪市産コシヒカリ「ひのひかり」、パッケージにも松阪市のキャラクター「ちゃちゃも」「松阪もめん」をあしらい、「松阪市限定」と記載した商品を納品しています。
松阪市に商品を納品送してからほどなく、熊本地震が発生しました。その際、松阪市は支援物資として6,000食の「フリーズドライご飯」を送っています。おいしさはもちろんのこと、「松阪市」という記載があったことで「誰が支援してくれたのかが知りたい」という声に応えることもでき、とても喜ばれたといいます。

今年3月、幕張メッセで行われた国際食品・飲料展「FOODEX JAPAN2017」で「フリーズドライご飯」について話をする上村さん(右)

「災害は本当に悲しいことですが、その中で、食事の時間が少しでも楽しみ、励みになればと思っています」という上村さんは、自ら各地の自治体を回り、防災非常食の必要性を訴えています。
「いずれは世界各地の難民の方々にもお届けできればと考えています。水がなくても食べられますし、栄養を添加することもできるので、支援物資としてもきっと役立てるはずです。そうして海外での需要が増えれば、国産のお米を使用していることから日本の農業振興にもつながるのではないかと思っています。」

「フリーズドライご飯」は、やがて海を越え、多くの人たちのおなかと心を満たしていくかもしれません。


株式会社サンフレックス永谷園
福島県いわき市常磐下船尾町杭出作23-10
URL:http://www.sun-flex.co.jp/

提供元:東北復興新聞 (http://www.rise-tohoku.jp/?p=15228)


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