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東日本大震災の教訓を熊本・大分へつなぐ~義援金差押禁止の立法提言

震災直後の被災者支援、復興計画における政策決定、事業者や生活者の再建支援など、復興の現場では様々な場面で弁護士が関わっています。現地での支援や後方支援に当たった法律の専門家から見た復興と法律に関するコラムを、現役弁護士がリレー形式で書き下ろします。今回の執筆者は、2011年に日本弁護士連合会災害対策本部室長として東日本大震災後の支援を行い、「災害復興法学」の創設者でもある岡本正弁護士です。

2016.05.02_益城町

日弁連による緊急会長声明

2016年5月9日、日本弁護士連合会(日弁連)が『平成28年熊本地震に関し義援金差押禁止措置等を求める緊急会長声明』を出しました。緊急声明の内容は、(1)義援金を差押禁止にする特別措置法を制定すること、(2)特定非常災害特別措置法の適用項目拡大、の2本立てです。東日本大震災の実績や、熊本県弁護士会による1200件以上の電話無料法律相談の内容などから、説得的に論じられていると考えます。ここでは、東日本大震災の教訓を紹介しながら、それぞれの対応の必要性について検討を加えます。

義援金の差押禁止法案

東日本大震災のときも、弁護士は被災地で無料法律相談を繰り返してきました。相談をしていくうちに、「義援金」のほか、「被災者生活再建支援金」(被災者生活再建支援法)や、「災害弔慰金」(災害弔慰金法)など、被災者が手にする公的支援金が、差押禁止財産になっていなかったことに気が付きました。すなわち、願いが込められた義援金や、再建や弔意を目的とした公的給付が、差し押さえられたりして、手元に残せない可能性があったのです。

そこで、弁護士らは、被災者が受け取る支援金等の差押禁止立法の必要性を提言し、超党派の議員立法を実現しました。「被災者生活再建支援金」「災害弔慰金」「義援金」が差押禁止になりました。ところが、将来にわたって恒久的な法律として形になったのは、「被災者生活再建支援金」と「災害弔慰金」だけです。この2つの法律は、もともとベースの法律があったためです。しかし、「義援金」は、ベースとなる法律がなく、東日本大震災限りの「特別措置法」だったため、熊本地震では適用されません。

緊急提言の実現が被災ローン減免制度の利活用にも大きな影響

熊本地震の住宅被害は、全壊「2,618棟」、半壊「3,970棟」、一部損壊「26,204棟」と甚大です(内閣府(防災担当)による5月9日時点の報告)。住居や事業所が被災し、個人で住宅ローンや事業ローンの支払いに窮する被災者が増えることが予想されます。そこで活用すべきなのが「被災ローン減免制度」です。正確には「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」といいますが、被災地では「被災ローン減免制度」と呼んで周知を図っています(適用には条件がありますので、詳しくは弁護士の無料法律相談窓口などにご相談をお願いします)。

法的な破産手続きでは、手元に残せる現預金はかなり限定的ですが、「被災ローン減免制度」を活用できた場合には、かなり多くの生活再建資金を残せます。たとえば、被災者生活再建支援や災害弔慰金などの「差押禁止財産」や、「現預金500万円まで」ほか一定の財産を、返済することなく手元に残せるのです。そのうえで支払えない部分のローンを一定の条件のもと減免できます。もし「義援金」が「差押禁止財産」でなければ、保険金が入った場合や、元々所持していた現預金などの総額によっては、手元に確実に残るとは限りません。

また、被災ローン減免制度では、裁判所の特定調停という民事調停の手続きを介することで最終的に金融機関と債務者がローン減免の合意をする流れとなっています。この特定調停の申立費用は、債務者負担(被災者負担)です。被災者の手続利用の負担を少しでも減らすためには、日弁連の緊急声明のもう一つの柱である、「特定非常災害特別措置法」の項目追加により、申立費用を無償化することが求められるのではないでしょうか。

地震被害がもたらす被災と紛争、その解決手段とは

図は、震災当時の住所地が、「宮城県仙台市青葉区」だった被災者のリーガル・ニーズの傾向です(1つの相談を内容に応じて1~3つのカテゴリーに分類。数字は全相談件数に対する当該分類されたカテゴリーの割合)。相談割合が特に高いのは「5不動産賃貸借(借家)」、「6工作物責任・相隣関係(妨害排除・予防・損害賠償)」です。仙台市青葉区は、当時の人口約30万人、借家率「43.7%」という仙台市の中心街区です。被害態様については、全半壊率「21.6%」(但し、仙台市全体)、推定浸水域にかかる人口比率「0%」でした。

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津波の被害はなくても、地震により建物が損壊することで、平常では発生しなかった賃貸借契約紛争(修繕、明け渡し、家賃負担を巡る紛争など)が賃貸人・賃借人間で発生しました。また、近隣住戸どうしでは、がれきの撤去や崩れた屋根瓦や塀が相手の財物を損壊したことによる損害賠償紛争が発生しました。都市部における地震被害によって、膨大な被災者のリーガル・ニーズが生じたのです。

仙台弁護士会は、任意に「震災ADR」(ADR=裁判外紛争解決手続き)を立ち上げ、裁判紛争ではなく、民間の仲裁機関による紛争解決を目指しました。多くの事例を簡易活迅速な手続きで解決した実績を誇っています。

特に賃貸借の相談は、東日本大震災では1年近く相談割合の中心を占めていたほど件数が膨大でした。図は、被災当時の住所が「宮城県」だった被災者の相談のうち、「賃貸借契約(借家)」をめぐる紛争の推移です。これだけの紛争が、相当期間収束することなく継続することには、当時リアルタイムで分析しながら、驚きを隠せないところでした。だからこそ、仙台弁護士会の「震災ADR」が効果を発揮したのです。

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熊本地震でも求められる「裁判」以外の解決策

先述のように熊本地震による建物被害は甚大です。熊本地震での法律相談傾向の詳細分析は未了ですが、東日本大震災の事例を応用して考えれば、賃貸借契約の当事者や近隣住民が紛争の火種を抱えていると考えるのが自然です。緊急声明でも、1200件以上の電話無料相談の内訳には、賃貸借契約や近隣紛争の相談が多くなっているとの記述があります。これを「裁判」で解決することは、当事者心理としても抵抗があり、時間的もかかります。

震災後は、集中的に行われる弁護士の無料法律相談それ自体が、紛争解決・紛争予防機能を果たします。その後、話し合いが必要なケースを「震災ADR」などにつなぐことが望ましいのですが、今のところは「震災ADR」が実現するかは不明です。従って、「調停」への需要が高まる可能性があります。東日本大震災のときのように、特定非常災害特別措置法の「民事調停法による調停申立てに係る手数料を無償化する措置」を追加して、少しでも申立のハードルを下げておくことが必要ではないでしょうか。

東日本大震災の教訓を熊本・大分へつなぐ

東日本大震災では法律家の提言により多くの防災・復興制度ができました。災害時に新たな課題が発生することは宿命とも言えます。しかし、常に想定外を想定する訓練をし、そのための制度を構築する不断の努力もしてきました。災害がおきてもあきらめずに制度の改良を繰り返すことで、災害に対するレジリエンス(強靭性)を獲得できると考えます。義援金差押禁止に関する緊急声明も、過去の教訓を活かそうとする提言です。今後の立法措置や法適用の展開に注目していただきたいと思います。

【参考文献】
・岡本正『熊本・大分地震に関する緊急政策提言(暫定版)
・岡本正『災害復興法学』(2014年 慶應義塾大学出版会)
・岡本正『東日本大震災と法律家の役割 被災地のリーガル・ニーズと復興法政策5年の軌跡』(自治実務セミナー 2016年3月号)
・岡本正『東日本大震災を教訓とした弁護士の防災・減災活動―災害復興法学の展開と災害派遣弁護士の浸透に向けて』(法律のひろば 2016年3月号「特集 震災から5年現場から問いかける課題と復興・防災・減災への提言」)
・仙台弁護士会『3.11と弁護士:震災ADRの900日』(2013年 きんざい)

文/岡本正 銀座パートナーズ法律事務所パートナー・元内閣府行政刷新会議事務局上席政策調査員

提供元:東北復興新聞 (http://www.rise-tohoku.jp/?p=13267)


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