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トップ  >>   最新ニュース   >  全町避難が続く双葉町「町の復興、人の復興」両輪の輪の潤滑油として

全町避難が続く双葉町「町の復興、人の復興」両輪の輪の潤滑油として

福島第一原子力発電所の事故の影響により、現在も全町避難を余儀なくされている福島県双葉町。震災後、役場機能を埼玉県加須市に移した。2013年6月から、いわき市に再移転。約7,000人の双葉町民は2015年8月現在、全国38都道府県で避難生活を続けている。

小林さん(左)と安谷屋さん。町民交流施設「ふたぱーく」の使い方を町民と話し合った「考えよう!作り出そう!いわき交流施設♪」ワークショップで出た付箋を前に

小林さん(左)と安谷屋さん。町民交流施設「ふたぱーく」の使い方を町民と話し合った「考えよう!作り出そう!いわき交流施設♪」ワークショップで出た付箋を前に

このような状況の中で活動するのが 双葉町復興支援員(通称:ふたさぽ)だ。2013年8月に発足し、現在のメンバーは9名。全町避難中の双葉町民の約2,000人が暮らす福島県いわき市、約700人が暮らす郡山市、約500人が暮らす埼玉県加須市の3カ所に拠点を置いている。

ふたさぽは、いわき市に拠点を置く広報チーム3人と、郡山市、加須市、そしていわき市の3カ所を拠点とするコミュニティチームの6人に分かれ「町民一人一人の生き方を認め合える社会」を目標に活動している。コミュニティチームリーダーの安谷屋(あだにや)貴子さんは「避難先が全国に散らばっているだけでなく、福島県内の仮設住宅入居者も元の行政区ごとに避難ができていないので、慣れ親しんだコミュニティが分断されてしまっています。町民の皆さんが、双葉町で暮らしていたときに大切にしていたものや、お互いの顔が見える町の暮らしの中で築いてきた自然なつながりを尊重しながら、今いる環境の中で自分らしく安心して暮らせるようサポートすることを心がけています」と言う。具体的には、町が2014年3月に作成した「双葉町復興まちづくり計画(第一次)」の中の「町の復興」と「人の復興」を軸に、ソフト面でのサポートを展開している。

実は「町の復興」と、町民一人一人の生活再建を目指す「人の復興」を両輪で進めるということは「双葉町の再建」と「現在住む場所での人々の暮らしの再建」という2つの軸を同時に実現させていくことであり、非常に難しい。一見相反する目標を同時に進行させていくことに、当初はメンバーの中にも葛藤があったという。

ふたさぽは、各地の自治会の活動もサポートしている。埼玉県加須市で開催された「騎西夏まつり」には双葉町埼玉自治会、はなみずき婦人学級のみなさんが参加し、練習を積み重ねた踊りを披露した。

ふたさぽは、各地の自治会の活動もサポートしている。埼玉県加須市で開催された「騎西夏まつり」には双葉町埼玉自治会、はなみずき婦人学級のみなさんが参加し、練習を積み重ねた踊りを披露した。

現在は、ふたさぽのスタンスである「町民の人たちが何をやりたいか。何を望んでいるのかを引き出し、町民のニーズをサポートすること」を大前提に、コミュニティ紙「ふたばのわ」の企画編集や動画発信、イベント運営などを通して、町の伝統芸能や祭りなどといった「双葉的なものを残す」ことを役割とする広報チームと、町民同士の交流会の企画やグループの立ち上げのサポートをしながら町の人たちが現在住んでいる地域で、健康に幸せに暮らしていくお手伝いをするコミュニティチームに役割を分けて活動している。主に前者が「双葉町の再建」、後者が「現在の暮らしの再建」を担っている、ともいえる。その上でチームメンバー同士が日々活動を共有し、同じ方向を向きながら活動することを心がけている。

多くの若者が参加するきっかけとなった「ふたばしゃべり場」

多くの若者が参加するきっかけとなった「ふたばしゃべり場」

その結果の一つが若者の参加を引き出す取り組みだ。2014年度には若者交流会「ふたばしゃべり場」を5回開催。その後開いた、双葉町の若者たちがいわき市内で活動している人と交流する「ふたば×いわきスタディツアー」が発端になり、「2015年度若者企画推進協議会(通称:ぐるぐるユニット)」というプロジェクト名で、いわき市内の仮設住宅で、震災後も途切れることなく毎年1月に開催している「双葉町ダルマ市」にブースを出そうという話し合いが進んでいる。その他東京での住民グループの立ち上げも準備中だ。

このようにしてこの2年間、少しずつ町民との信頼関係を重ねてきたふたさぽだが、発足当初はただひたすら町民に会って話を聞く毎日だったという。自治会や社会福祉協議会の集まりに出たり、町役場の職員から町のキーパーソンを教えてもらい「取材」という名目で会いに行ったりもした。広報チームの小林辰洋さんは「常に心がけてきたのはレスポンスを欠かさないことです。直接会って話せる関係を大切にしながら、すぐに会えないときは電話する、寄せられた質問には必ず回答するなど、丁寧なコミュニケーションを心がけてきました」という。双葉町に住んでいたときには、役場とも住民同士でも近い距離でのコミュニケーションが取れていた人たちにとって、顔が見えない、回答がもらえないという状況は不安につながる。本来、自然に取れていたコミュニケーションを意識的に、丁寧にとることが住民の安心につながり、その積み重ねにより信頼関係に至っている。

それでも「自分に何ができるだろう」「町の人たちの役に立っているだろうか」と悶々と考える毎日だ。復興支援員という立場だが、自分たちより人生経験の長い住民たちと接する機会が多いため、逆に教わることも多い。

住民が「どこに住んでいても自分らしく生きられること」を目指すふたさぽの取り組み。その挑戦は、復興支援に限らず、過疎化や高齢化の進む地域でのコミュニティ支援など、アイデンティティを尊重しながら生活を支援する取り組みのモデルとなるのではないだろうか。

文/武田よしえ

提供元:東北復興新聞 (http://www.rise-tohoku.jp/?p=11191)


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